群とか位相空間とかある程度知ってる人向け。俺が大学のとある先生に圏論を教わったときの導入を文章にした物です。
群の話
Z/4Z と Z/5Z は(加法群として)同型か? という群論の問題があります。
こんなのはもちろん同型でありません。何故かと言うと Z/4Z は4つの元、 Z/5Z は5つの元からなる集合、つまりそもそも濃度が違う(=全単射が無い)ので、同型になりえない訳です。
これはちょっと難しく言うと
群として同型 ⇒ 集合として同型 (濃度が同じと言うことを、あえてこう書きます)
という命題が成り立つので、その対偶を使ってるわけです。
位相空間の話
難しい例を言うと、位相空間に"基本群"という概念が有ります。
ちょっと詳しく言うと、位相空間Xが有ったときに、π(X)という群を作る事ができます。(ちょっと記号違うけど許して。)これは
位相空間が同型(=同相) ⇒ 基本群が同型 式で書くと
X≅Y(同相) ⇒ π(X)≅π(Y) (群として同型)
という定理が成り立つので、位相空間が同相かどうか調べるには、まず基本群を調べるという方法があるわけです。(基本群が同型でなければ、位相空間が同相で無い)
圏論とは
これを一般化したのが圏論です。
圏と言うのは超大雑把に言うと"ある集合"と"ある写像"を集めた物です(←あまり鵜呑みにしないようにw)。
例えば
- "全ての集合"と"全ての写像"を集めた物は圏になります。(この圏をSetと書くことにする)
- "全ての群"と"全ての群準同型"を集めた物は圏になります。(Grと書くことにする)
- "全ての位相空間"と"全ての連続写像"を集めた物は圏になります。(Topと書くことにする)
もちろん、ただ集合や写像を集めれば良いわけではなくて、ある程度の条件を満たす必要があります。
圏の言葉について少し説明すると、圏の中の"集合"にあたるものを対象、"写像"にあたるものを射と言います。
そして、圏Cの2つの対象A,Bに対し、2つの射 f:A→B と g:B→A があって、fとgが互いに"逆射"とでも言うべき物になっているとき、A,Bは(Cの中で)同型と言います。
例えば、さっきの"集合"と"写像"の圏Setの場合、A,Bが圏Setの中で同型とは、要するにA,Bの濃度が等しいと言う事です。同様に、圏Grの中で同型とは要するに群として同型という事ですし、圏Topの中で同型は同相という事です。
そして、次に"圏の準同型写像"とでも言うべきものを考えます。これを関手と言います。
関手は圏の"写像"なので、対象を対象に、射を射に写します。例えば、圏C,Dが有って、F:C→Dが関手だとすると
対象Aが圏Cに含まれる ⇒ 対象F(A)は圏Dに含まれる
射fが圏Cに含まれる ⇒ 射F(f)は圏Dに含まれる
という風になっています。
ここで重要なのは
f:A→Bが(圏Cの中で)同型 ⇒ F(f):F(A)→F(B) が(圏Dの中で)同型
という定理が成り立つ事です。(これは、関手の定義から導かれます。)
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具体例を書きます。最初の群の例を見てください。
F:Gr→Setを、群に、群構造を忘れた集合を対応させる物とします。たとえばZ/4Zは加法群ですが、F(Z/4Z)はただの集合{0,1,2,3}だと思う訳です。すると、このFは関手になるわけです。即ち
f:(G,・)→(H,・)が群として同型 ⇒ F(f):G→Hが集合として同型
が成り立つわけです。
位相空間のほうの例も見てみます。この場合
π:Top→Gr を位相空間Xに基本群π(X)を対応させるものとすればπは関手となります。つまりさっき書いた
X≅Y(同相) ⇒ π(X)≅π(Y)
が直ちに導かれる訳です。