2011年11月14日更新

集合に群構造が入る

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定理

選択公理⇔任意の非空集合Xに群構造を入れることができる

証明

(⇒)Xが有限集合の時は自明( Z/nZ を考えればよい)だから,Xは無限集合とする.F(X) := { x⊂X | xは有限集合 } と書くことにする. 選択公理より,|X| = |F(X)|,即ち全単射X→F(X)が存在する.

実は「任意の無限集合Xに対し |X| = |F(X)| 」は選択公理と同値である. 証明は基数の性質の定理9を参照.

よって F(X) に群構造を入れられることを示せばよい.

自然な同一視 Power(X) = 2X で考えると F(X) = { f∈2X | 有限個のx∈Xを除いてf(x)=0 }である.2 = {0, 1} = Z /2Z は体だから,それの直積である2Xは自然に環となる.このとき明らかにF(X)⊂2Xは(加法についての)部分群である.故にF(X)に群構造を入れることができた.

同じことだが,直接演算を定義しても証明できる.

F(X)上の二項演算を対称差Δで定義する.(これが2Xでの加法に対応する.)
 xΔy := (x∪y)\(x∩y) = (x∪y)∩(xc∪yc)
(F(X), Δ)は群になる.

∅ ∈F(X) が単位元,x∈F(X) の逆元が x 自身であることは明らかだから,結合律を示せばよい.x, y, z∈F(X) に対し
(xΔy)Δz
=[(x∪y)∩(xc∪yc)]Δz
=( [(x∪y)∩(xc∪yc)]∪z ) ∩ ( [(x∪y)∩(xc∪yc)]c∪zc )
=( [(x∪y)∪z]∩[(xc∪yc)∪z] ) ∩ ( [(xc∩yc)∪(x∩y)]∪zc )
=( [x∪y∪z]∩[xc∪yc∪z] ) ∩ ( (xc∩yc)∪(x∩y)∪zc )
=(x∪y∪z) ∩ (xc∪yc∪z) ∩ (xc∪y∪zc) ∩ (yc∪x∪zc)
=(x∪y∪z) ∩ (x∪yc∪zc) ∩ (xc∪yc∪z) ∩ (xc∪y∪zc)
=( x∪[(y∪z)∩(yc∪zc)] ) ∩ ( xc∪(yc∩zc)∪(y∩z) )
=( x∪[(y∪z)∩(yc∪zc)] ) ∩ ( xc∪[(yc∩zc)∪(y∩z)] )
=( x∪[(y∪z)∩(yc∪zc)] ) ∩ ( xc∪[(y∪z)∩(yc∪zc)]c )
=( x∪(yΔz) ) ∩ ( xc∪(yΔz)c )
=xΔ(yΔz)
故に結合律が成り立つ.

(←)整列可能定理を示す.X≠∅を任意の集合とする.単射λ→Xが存在しないような順序数λが存在する(基数の性質の命題の証明を参照)ので,そのようなλを1つ取っておく.簡単のため,Xは順序数を含まないとする.

仮定によりX∪λを群にすることができる.(その積を・とする.)このとき
∀x∈X∃α∈λ(x・α∈λ)
が成立する.

∃x∈X∀α∈λ¬(x・α∈λ) と仮定する.写像f:λ→Xがf(α):=x・αで定義されるが,これは積・の性質により単射となりλの取り方に矛盾する.

さて,直積λ×λに辞書式順序を入れる.するとこれは整列順序になる.そこで g: X→λ×λを
g(x) := min{ <α, β>∈λ×λ | x・α=β }
と定義すると,gは単射であり,よってXは整列可能である.

この定理を見てすぐに思いつくのは,群の部分を環や体などの別の構造にしたらどうなるか,という問題である.まず次の2点に注意する.

(1) F(X)⊂2Xは積についても閉じている. 故にF(X) は(1を持たない)環になる.

Power(X)の∩が2Xの積に対応している.勿論, 先ほどと同様に直接 (F(X), Δ, ∩) が環になることを示すこともできる.

(2) ← の証明には積・から得られる写像が単射であることしか使っていない.特に,積・が
 ∀x, y, zに対し( x・y=x・z ⇒ y=z )
 ∀x, y, zに対し( x・z=y・z ⇒ x=y )
という性質を満たしていれば先の証明は実行できる.
(この条件を満たすことを消約(cancellative)と言うことにする.)
従って次の系が分かる.

前定理は群の部分を

参考文献

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