2011年11月13日更新

Bernsteinの定理

PDF版

Cantor-Bernstein-Schroederの定理

単射 f: X→Y と単射 g: Y→X が存在するならば, 全単射 h: X→Y が存在する.

即ち,|X|≦ |Y|かつ|Y|≦ |X|ならば|X|=|Y|である. この定理は選択公理を使わずに(ZFで)証明できる.

以下,この命題をCBSと書くことにする.

証明

f, gのどちらかが全射ならば明らかだから,どちらも全射でないとする.以下のように集合を定義する.

A := ∪_{n=0}^{∞}X_n, B := X\ A
C := ∪_{n=0}^{∞}Y_n, D := Y\ C

f, gが単射なので,異なる非負整数m, nに対しX_m∩X_n = ∅, Y_m∩Y_n = ∅ である. またX = A∪B = (∪X_n)∪B, Y = C∪D = (∪Y_n)∪D となる.

f(A) = f(∪_{n=0}^∞X_n) = ∪_{n=1}^∞Y_n かつ f(X) = Y\Y_0 = (∪_{n=1}^{∞}Y_n)∪D だから, f(B) = D である.そこで h: X→Y を
 x∈X_{2n} のとき h(x) := f(x)
 x∈X_{2n+1} のとき h(x) := g-1(x)
 x∈B のとき h(x):= f(x)
と定義すれば,これは明らかに全単射である.

この定理から,すぐに「双対版」が思いつく.

双対Bernsteinの定理

全射 f: X→Y と全射 g: Y→X が存在するならば, 全単射 h: X→Y が存在する.

この命題をCBS*で表すことにする. 選択公理を使えば,CBS*はCBSから簡単に導くことができる.

選択公理は「全射の右逆写像の存在」と同値.即ち
選択公理
⇔ 任意の全射 F: X→Y に対しある単射 G: Y→X が存在してFG=idY

(⇒)Fの全射性より族 { F-1(y) }_{y∈Y} は非空集合の族なので 選択関数 G: Y→∪_{y∈Y}F-1(y)=X が存在する.このとき明らかに FG=idY

(←){X_λ}_{λ∈Λ}を非空集合の族とする.各X_λは互いに素としてよい. このとき F: ∪_{λ∈Λ}X_λ→Λを F(x) := (x∈X_λとなるλ) で定める.Fは全射だから仮定より FG=idY となる G: Λ→∪_{λ∈Λ}X_λが存在する. このときGが明らかに選択関数である.

そこで u: Y→X, v: X→Y を全射f, gの右逆写像として v, uにCBSを適用すれば全単射 h: X→Y が得られる.

つまりCBS*はZFCで証明可能. しかし,CBS*はZF(更に言えばZF+DC)で証明できないことが知られている.

藤田博司さんがそのことについて書かれています. http://www.math.sci.ehime-u.ac.jp/~fujita/notes.jp.htmlにあるPDF双対ベルンシュタイン定理についてを参照. また,ZFで「CBS*⇒選択公理」が成立するかどうかは未解決問題らしいです.

CBSでのhに条件を加えた命題を考える.

命題

単射 f: X→Y と単射 g: Y→X が存在するならば, 全単射 h: X→Y で h⊂f∪g-1 を満たすものが存在する.

h⊂f∪g-1 はf, g-1, hを X×Y の部分集合とみなして考えるということ.

この命題をCBS+で表すことにする.当然これの双対版も考えられます.

命題

全射 f: X→Y と全射 g: Y→X が存在するならば, 全単射 h: X→Y で h⊂f∪g-1 を満たすものが存在する.

この命題をCBS+*で表すことにする.

CBSの証明の中で構成した全単射hは明らかに h⊂f∪g-1 を満たす. 故にCBS+はZFで証明可能である. 一方CBS+*については次が成り立つ.

定理

選択公理⇔ CBS+*

証明

(⇒)f: X→Y と g: Y→X を全射とする. 選択公理によりf, gの右逆写像 u: Y→X, v: X→Y が存在する. 即ち fu = idY, gv = idX. このとき u-1⊂f, v⊂g-1 である.

(i) u-1⊂f について
任意の<x, y>∈u-1を取る.u(y)=xである.fu=idYより y=fu(y)=f(x)だから<x, y>∈ fである.よってu-1⊂f.

(ii) v⊂g-1について
任意の<x, y>∈vを取る.v(x)=yである.gv=idXより x=gv(x)=g(y)だから<x, y>∈g-1である.よってv⊂g-1

単射 v: X→Y と単射 u: Y→X にCBS+を適用して 全単射 h: X→Y で h⊂v∪u-1 を満たすものを取れば h ⊂ v∪u-1 ⊂ f∪g-1

(←)全射 f: X→Y の右逆写像の存在を示す. Z := { 0 }∪Y∪(X×N) として写像 k: Z→Z を次で定める.
k(0) := 0
k(y) := 0 (y∈ Y)
k(<x, 0>) := f(x) (x∈ X)
k(<x, n+1>) := <x, n> (x∈ X, n∈N)

明らかにkは全射である.そこで全射 k: Z→Z と全射 k: Z→Z にCBS+*を適用して 全単射 h: Z→ Z で h⊂k∪k-1 を満たすものを取る. 写像 h|Y を考える.

(i) h|Y⊂k-1のとき
y∈Y に対し h(y)∈k-1(y) となる. よって kh(y) = y.また,kの定義より k-1(Y) = X×{ 0 } だから h(y)∈k-1(y)⊂X×{0}である.故に,ある写像 g: Y→X を使って h(y)=<g(y), 0> と書ける.このとき任意のy∈Yに対し
y = kh(y) = k(<g(y), 0>) = f(g(y)) = fg(y)
即ちgはfの右逆写像.

(ii) h|Y⊂k-1でないとき
h⊂k∪k-1 だから あるa∈Yが存在してh(a)=k(a)である. このときkの定義からh(a)=0となる. hは全単射だったから,実はこのようなaは唯一つしか存在しない. 故に A := Y\{ a } と置けば h|A⊂k-1 となる. そこでAについて(i)と同様の議論をすれば 写像g: A→X で fg=idA となるものが取れる. そこで元 b∈f-1(a) を一つ取り g(a) := b として g: Y→X へ拡張すれば 明らかにgがfの右逆写像である.

この←の証明では,CBS+*の「X=Yかつf=g」の場合しか使っていない.故に次のことが分かる.

選択公理
⇔全射 f: X→X に対し 全単射 h: X→X で h⊂f∪f-1を満たすものが存在する.

参考文献

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